11月20日はボジョレーヌーボの解禁日です
ある日の電話


『そーいえばさー』
何?
『今度お店でワイン出すんだけど、名前つかってもいい?』
別に構わんが?
『ありがとーv』
(…?)



あくる日のMSNメッセ

>そうそう、ワイン造ったよー
そうか
>えっとねー、コレ
スパークリングの白か
>でね、ロゼもあるんだw
>コレ
(爆笑。てゆかバカだろお前
>あと普通のもあってね
>コレ
これは?
>スピキオなのw
そうか(笑)
>それとコレ
杏?
>正解w
なんていうネタ…
ま、いいや。暇だったらなんかそれに纏わるSSでも書く?
>よろしくww

「とある日のNAC」
もーそろそろワインが美味しい季節ねー
なんていうワイン党やらのんべえたちが喜ぶ季節の話がそこらに飛び交い始めた頃
農産物を扱うNACでも、もちろん話が飛び交っていた
美味しい季節ねー、というよりかは
トレーサビリティがー、キャンペーンがー、とか
どっちかっつーと一部修羅場的な雰囲気ではあったが。
そんな中、NAC組合長室に総務部長がワインケース抱えて乗り込んできた。(ノック無し
「たのもー」
「ちょwww なにそれwww」
「ワイン。 試供品だって。さっき販売課経由でワイナリーから届いたのさ」
おもーいとかいいながら組合長席の前にケースを下ろす。
一応オフってゆったって仕事してるんだからね!とばかりに書類とにらめっこしていた
組合長・結城杏は席を立ってケースを見る。
「試供品…。私お酒ほとんど飲めないから持ってけば?」
昔は飲めたけど今ぜんぜん、な杏は、大概なら飲めるという総務部長を見た。
見た瞬間見なければよかったと思う程あくどい顔をしていたので速攻で目を逸らしたが…
「組合長にコレの名称決めて欲しいらしいよ?」
あくどい顔の総務部長はにこやかに言った。
「マジデ?」
「マジデ。」
ビンを見つめつつコンマゼロ秒で確認する杏。条件反射で返す総務部長。
「えー」
「えーって言わない。コレも農産物の一種。無下に断ることもできないんだから、これも仕事デス」
正論すぎて口ごもる杏。
いつもあーなのに正論信者だからなーとか思ってたら顔にでたらしく更ににこやかに微笑まれた。
すげー怖い。
「お前、ながみじゃ有名人だしな。今野菜丼の開発も最終段階はいってるし、攻めにいきたいんだろ」
「わかるんだけどさー…」
むー、と唸ってみるもやらなけらばならないらしい、と長年の付き合いで諦めに入った杏。
ビンをしっかりみる。どうやら4種類。
「これ、なにが何?」
「んーと、スパークリングの白とロゼ。あと普通の白と赤で4種だって」
「ほへー。クリスマス向け?」
「ま、それもあるだろうな。あとのんべえはどこにでもいるし」
「まーねー」
犬の宰相だって猫の大統領だってお酒は好きだ。
好きって言うかあの人たちは何か違う気もするけど…、よく飲むというのは知っている。
犬の皇帝は知らないけど、晩餐会とかあるし飲むよねー。
そういえば大法官の人とか元大統領さんとかもお酒好きだっけ。
とか手早く宣伝方法やら流通経路を頭でまとめる杏。
「つーわけであれだ」
「どれ」
「早速試飲」
「ちょwww私まだ書類あるってwww」
「何も一本全部飲んでと言ってるわけじゃないが」
「一本まるまるなんて飲みきれないってwww」
「とりあえず飲まないとわからんだろ」
「グラスないんだけど… ラッパのみ?」
「あーん?お前の目は節穴か?横を見ろ」
「………。」

横にある包みを見た。
中を開けた瞬間、これもまた見なければよかったと思った。
コルク抜きにミニグラスにチーズまで…
「と、言うわけで試飲会―。どんどんぱふぱふ」
「…他の職員から怒られると思うんだが;;;」
もっともである。しかし平然と
「大丈夫。そこらへんはどうにかしたから」
「何した(笑)」
「えー、ただ 「組合長最近お疲れのようですし、こちらの命名も日がありませんので
午後から急務以外持ち込まないようお願いできますか?」って笑顔で各部署に言ってみた」
「なんていうwww」
「一応チーズもこれから市場に出す奴だって。ワインとセットでギフト用にしたいから
 あわせて食べてvだってさ」
さっそく総務部長は1本目のワインのコルクを抜き、ワイングラスへと注いだ。
もちろん、グラスと一緒にあったチーズも準備して。

「これだっ!」

ワインと総務部長を見ていた杏は、ぴーん♪とひらめいた。
まるでロマ○ガ系のひらめきのように頭の上に電球がでてたかもしれないくらいに。

「ふふふふふw」
「…なんだきしょい」
「Σきしょいっていわれたっ!」
がびん!とショック受けつつも即回復して小首を傾げる杏。
「えっとね、スパークリングの方、ちょっと名前借りてもいい?」
「私の?」
「いえすっv」
「…まー、別にいいけど」
あっさり了承を出したのは酔っ払っていたからだ、とは後日の総務部長の談である。
「さんきゅーv よし!販売課に伝えてこよう!w」
「はえーな」
「速度だって、言ってたのそっちじゃないかw」
「まーなー」
それじゃ行ってきますwとばびゅんと行動に移した。
小さく手を振って見送った総務部長。
その数時間後、組合長室に荷物を取りに帰ってきた杏が見たものは
空の4本のビンと完全に寝の体勢に入った総務部長の姿だった。
「ちょwwこれどうすんのwww」
それから数日後。
ワイナリーで新作ワインの発表会。
杏はもちろん、裏方で総務部長の姿もあった。
「今年のワインは
スパークリングワイン ツキシロ(白) http://silvervine.cart.fc2.com/ca35/138/p-r20-s/
スパークリングワイン ヴィクトリー(ロゼ)http://silvervine.cart.fc2.com/ca35/139/p-r20-s/
ワイン アフリカヌス(白) http://silvervine.cart.fc2.com/ca35/136/p-r20-s/
ワイン アーメニアカ(赤) http://silvervine.cart.fc2.com/ca35/137/p-r20-s/
…になりました。
Silver Vineでも取り扱い開始しますので、皆さん是非飲んでみてくださいねv」

後日、NAC組合長室から
「このばかー!」とか「ぎゃー!」とか「暴力はんたいー!」とかいう声が聞こえてきたのは
もはやいうまでもない…。


作者:月代由利